企業が販売戦略を決める方法の1つとしてアンケート調査があり,得られたアンケートデータに,多変量解析手法を用いて解析することが多い.しかし,アンケートデータには,回答が未記入の部分が存在する場合がある.そのような欠損を含むデータに対しては多変量解析手法が適用できないため,なんらかの方法で欠損部分を補完する必要がある.また,アンケートによっては,質問項目が膨大にあり,回答者に負担が掛かることで,真面目に解答しなくなることや途中で解答をやめてしまうことが考えられる.このとき,精度の高い補完手法が存在すれば,出題者が回答者ごとに質問項目を意図的に削減することで,回答時間が短縮され,回答者の負担が減り,真面目に答えられたアンケートデータが多く収集できると考えられる.欠損部分を補完することで従来通り解析できる.
これらから,精度の高い欠損補完手法が求められている.本発表では,テンソル構造のアンケートデータに対して,回答傾向が類似した回答者をクラスタリングし,クラスタごとに確率的主成分分析とCANDECOMP /PARAFAC分解を利用した欠損補完を行う手法を提案する.