次世代のストレージクラスメモリとして,超格子GeTe/Sb2Te3(GST)相変化メモリが注目されている.このメモリではGe原子のわずかな移動により高抵抗状態と低抵抗状態を遷り変わると考えられており,超低電圧でのメモリ動作が期待されている.これまでに高抵抗状態と低抵抗状態での原子配置は明らかにされているが,その2つの状態を行き来する際の構造変化過程は解明されていない.今後より高性能なメモリ設計を行う上で正確な構造変化過程を知ることは必要不可欠である.
そこで現在,第一原理計算を用いて,超格子GSTの構造変化過程を明らかにすることを目指して研究を進めている.実験と一致している事実を利用して,それと矛盾しない構造変化過程を見出すことに成功した.講演では,その構造変化課程 の詳細と妥当性について報告する.今後は,Ge欠陥を有する場合のスイッチング機構を原子レベルから解析し,Ge欠陥がスイッチング特性に与える影響について検証していく予定である.