画像領域分割は、CT画像などの医用画像診断や、航空写真や衛星画像の解析など に直接的に用いられるだけでなく、顔認識などのあらゆる画像処理に必要とされる重 要な前処理でもある。
レベルセット法を用いた画像領域分割は、動的輪郭モデルに分類される手法の一 つである。レベルセット法では領域の境界の状態を偏微分方程式で表し、境界の変化 を偏微分方程式の解として、陰に表現するものである。対象とする空間に対して1つ 次元の高い空間を設定し、高次元空間で定義された関数(補助関数)の断面を考える。 補助関数の形状を領域の特徴に応じて適切に設計し、制御することで、補助関数、す なわち境界に対して滑らかな形状を保ちつつ、自然な形で境界の分離、結合が表現で きる。
本発表では、レベルセット法の基本原理とそれを画像領域分割に適用するための 方法を説明し、単純なアルゴリズムをいくつかの画像に適用した結果を紹介する。