氏名 : 加藤 祥太 (281403678)
所属 : 大野研
題目 : 第一原理計算によるβ-Snの安定双晶境界構造に関する研究
概要 :
本研究では,鉛フリーはんだ材の主成分として用いられる白色スズ(β-Sn)の塑性変
形機構を微視的な観点より述べる.近年のはんだ接合部の微細化に伴い,その主成分
である白色スズの微視的な塑性変形機構の解明の要求が高まっているが,結晶構造の
複雑さよりそれらは不明な点が多い.その中でも,白色スズの塑性変形機構の一つで
ある双晶変形について明らかにされていることは,(10-1)面[101]方向,(301)面
[-103]方向の2通りの双晶面,双晶方向が存在することだけである.そこで本研究で
は,面[101]方向を対象に双晶変形が生じた際の安定構造を第一原理計算により明ら
かにすることを目的とした.白色スズの双晶境界は幾何学的に6パターン存在する.
各パターンと双晶境界がない場合のエネルギー差を双晶境界エネルギーと定義し,算
出することにより,最安定な双晶境界のパターンを明らかにした.また,双晶境界エ
ネルギーと電子密度分布の関係性について検討を行い,電子密度分布が双晶境界のな
い場合に近いほど,双晶境界エネルギーが小さいことを明らかにした.
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