チューブと波状フィンからなるチューブ-フィン構造体は,自動車に備わるインタークーラなどの伝熱コア部として用いられる.インタークーラとは,過給器が圧縮・加熱した空気を,圧力を保ったまま冷却してエンジンに送る熱交換器であり,自動車にとって非常に重要な製品である.しかし、インタークーラにはエンジンの起動・停止に伴い,繰り返し熱負荷が生じるので,疲労破損を生じてしまう可能性がある.
この疲労破損を有限要素解析で検討する場合,インタークーラ全体を有限要素モデル化する必要がある.しかし,伝熱コア部の構造の複雑さにより要素数が莫大となり,計算負荷が極めて高くなるという問題がある。そこで,計算負荷を低減するために,均質化法という手法を用いることが考えられる.均質化法とは,周期的な構造物を単純な立方体のモデルに置き換える方法のことである.
インタークーラには曲げと圧縮の負荷が主にかかっていることが観測されている.そこで、本研究では,インタークーラの伝熱コア部から切り出した試験片に対し,4点曲げ負荷を加え,均質化モデルが曲げと圧縮負荷を受けている状態でも、精度が保つことができるか実験と解析により検討する.