Brain Computer Interface (BCI)は,脳信号に対する特徴抽出・判別を行うことで, 思考のみにより外部機器の操作を可能とするインタフェースである. BCIの研究が進むことで,筋委縮性側索硬化症(ALS)患者のように, 脳活動は正常であるが重度の四肢麻痺を抱える人に対する, コミュニケーションツールとしての利用が期待されている.
このBCIの一種に,脳波から得られる事象関連電位であるP300を特徴量に用いることで, ユーザの思考のみで文字入力を行うP300 spellerがある. P300 spellerでは一般に,選択候補を行列型に並べたインタフェースが用いられるが, 注視点の移動が困難なALS患者では,判別性能が低下する問題が指摘されている.
一方,注視点非依存なP300 spellerとして, インタフェースの中心に選択候補を1文字ずつランダムに呈示する手法, 高速逐次視覚呈示(RSVP)が提案されてきた. しかしRSVPでは,文字を短時間で1つずつ呈示するため, 呈示された候補を瞬時に認識することが求められる.
そこで本研究では,呈示する候補文字の構造的特徴を部分的に強調することで, 各候補の認識率を増加させ,文字入力性能を向上させる方法について検討を行う.