多様なセンサを搭載した携帯端末の普及と位置情報サービスの発展に伴い,屋内などのGPS情報の使用できない場所での位置推定技術の需要が高まっている.絶対位置測位のできない場所における位置推定手法としては,装着型センサから得られる加速度・角速度情報などの行動センシング情報を用いた歩行者デッドレコニングなどの研究がなされてきた.我々は,ユーザの行動センシング情報を基にした位置推定手法の研究やその実用性の評価を行うために,特定の移動経路を対象とする行動センシング情報収集フレームワークを構築し,多数のユーザの行動センシング情報の収集を行ってきた.
本研究では,収集した行動センシング情報を解析し,装着型センサを用いたユーザの行動イベント系列の抽出手法を提案する.行動イベント系列は,歩行,階段昇降,エレベータといった移動行動及び,右折・左折などのイベント行動からなる時系列情報を指す.本発表では,行動イベント系列の抽出手法と,本手法の評価実験結果について述べ,抽出した行動イベント系列の応用方法について検討する.