氏名 : 久富 夏規 (281267103)
所属 : 計算流体力学グループ
題目 : 熱対流乱流の大規模直接数値シミュレーション
概要 :
熱対流は重力下の流体中で周りと比べて温度の高い部分が上昇し、低い部分が下降することで引き起こされる流れである。
気象学や工学でみられる熱対流の多くは乱れた流れ(乱流)であり、熱対流乱流と呼ばれる。
この乱流の規範的な流れに二平行平板間熱対流乱流がある。その乱れの強さを表す指標のひとつにレイリー数がある。
レイリー数が十分高くなると熱対流乱流は壁から十分離れた領域だけでなく壁近傍も乱流になると考えられている。
この流れの解明には直接数値シミュレーション(DNS)が強力な手段のひとつである。なぜなら、DNSは実験で得づらい3次元データを得ることができるからである。
レイリー数が高くなると熱対流乱流の自由度が膨大となるため、大規模並列計算が必要である。
そこでまず、精度と効率の観点から最近の大規模スカラ型コンピュータに適した計算手法の検討を行う。
これまでよく用いられてきたチェビシェフ多項式やフーリエ多項式に基づくスペクトル法は高精度であるが、効率の良い大規模並列計算を行うことが難しい。
陽的差分法は高効率であるが、エネルギーの散逸する小さいスケールを解像することが難しい。
精度と効率の両立が期待できる手法のひとつに結合コンパクト差分法がある。
本研究はこの手法を用いて大規模DNSを行い、熱対流乱流の普遍性解明を目指す。
当日は計算手法と今後の課題について発表する。
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