氏名 : 近田 征也 (281267200)
所属 : 大野研
題目 : β-Snの塑性変形についての原子レベルからの検討
概要 :
近年、はんだ接合部の微細化が進んでおり、強度解析において、はんだ材の結晶
特性を考慮することが求められている。しかし、はんだ材の主成分であるβ-Snは
複雑な結晶構造をしており、結晶特性はよく分かっていない。これまでの研究か
ら、β-Snには、すべり変形の際、直線経路よりも曲線経路(MEP)をとる方がエ
ネルギー的に有利なすべり系が5つ存在することが分かっている。本研究では、
第一原理計算を用いて、β-Snの全てのすべり系の直線経路とMEPについて一般化
積層欠陥(GSF)エネルギー、せん断応力、理想せん断強度を求めた。その結
果、MEPの方が、直線経路よりもすべりに要するせん断応力が小さく、すべりや
すいということが分かった。また、求めた理想せん断強度とシュミットの法則か
ら、活動すべり系の結晶方位依存性の検討を行った。その結果、単軸引張を受け
るβ-Snは、結晶方位によって異なるすべり系が活動することが明らかとなった。
なお、[110]方向については、単軸引張試験が行われており、その結果と本結果
は一致した。
今後は、もうひとつの代表的な塑性変形機構である双晶変形についても解析を行
い、すべり変形と比較、検討を行う予定である。
目次に戻る