近年では,コンテキストアウェアサービスの実現に向けて,携帯端末に搭載 された加速度センサなどを利用した行動認識に関する研 究が進ん でいる.本研 究ではコンテキストアウェアサービスの一つとしてエレベータ認識に着目する. 従来のエレベータ認識の研究では,対象とするエレベータ が少な く,検出アル ゴリズムの汎用性が十分ではない.
本研究の目的は,加速度センサを用いたエレベータの種類にロバストなエレベー タ区間検出と,移動距離推定の実現である.これを実現するために, 我々は, ま ず,様々なエレベータに乗車した際の加速度信号を記録し,エレベータ加速 度信号データベースを構築した.多くのエレベータ情報の収集により,デー タ ベース を充実させれば,より汎用的に利用可能な検出アルゴリズムが実現でき る.例えば,エレベータの区間検出のためには,エレベータの加速度信号の継続 時間が重 要である.我々はエレベータ事例から,加速度信号の継続時間は最短 でも1.2秒以上あることを確認した.このような情報に基づき,我々はエレベー タの区間 検出、移動距離推定手法を実現し、9割を超える認識率を実現した。本 手法により,ユーザのフロア間の移動状態を推定できれば,フロア毎の位置情報 サービス やライフログなどの応用が期待できる.