近年,スマートフォンなどの携帯端末ではマルチタッチインタフェースが主流となっている.現在のマルチタッチインタフェースではタッチされた座標とその移動距離,接触箇所の数のみを考慮しているが,必ずしも直感的なインタフェースとはいえない.
本研究では直感的な3Dオブジェクトの操作を可能にするマルチタッチインタフェースの実現を目的とする.具体的には布をめくる,紙を折り曲げるなどの自然な動作をそのままタッチパネル上で実現可能にする.これらのインタフェースを実現するためには,従来のインタフェースで利用している特徴量のみでは不十分である.そこで本研究では,タッチされた箇所の指を認識し,指の種類や組み合わせに基づいて操作を適切に切り替える.指の種別を判断するためにパネル上の接触面情報を取得可能とする装置を開発した.装置はFTIR方式のタッチパネルとOpenCVを用いたソフトウェアから構成される.
今回の発表では一例として布をめくる動作の認識について説明する.指認識の方法として接触面積,指の角度,指の可動範囲などの特徴量を用いた推定法を用いる.また,これらのパラメータを決定するため,これまで行ったタッチパネル入力における指の角度の傾向の調査や,二つの指を用いた操作の特徴量の測定についても説明する.