RFIDは小型のアンテナ付 IC チップをものや人に付与し,そこに記憶された情報をリーダによって読み取ることで,物体認識や個人認証などを行う技術である.RFIDシステムではリーダとタグが無線通信を行うため,タグのプライバシーが侵害される恐れがある.近年,タグのプライバシーを保護するRFID認証プロトコルが多く提案されているが,一般的に一つのタグを認証するために,サーバ側で鍵の全数探索を行う.即ち,タグの個数をNとしたときサーバの計算量はO(N)となり,Nが非常に大きい場合はサーバに大きな計算量が必要とされる,という問題がある.この問題に対し2010年,Duc,Kim,Yeunはサーバの計算量がO(1)である認証プロトコルを提案した.しかし,この方式ではあらかじめパラメータmを決め,m個の偽名と呼ばれる乱数(α_1,…,α_m)をタグ側に保存し,毎回の通信で一個ずつ使い捨てる方式であるため,タグの利用可能回数が偽名の個数mに依存する.
本研究ではタグの利用可能回数の制限を無くすことを目的として,一個の偽名αを保存して毎回の通信で更新していく方法で長期間利用できるRFID認証プロトコルを提案する.