氏名 : 栗田 健次 (281167060)
所属 : 計算流体グループ
題目 : CT画像に基づいた気管支内流れの数値シミュレーション
概要 :
近年、呼吸器に関する疾患での死亡割合は増加しており、特に肺癌を死因とする割合の増加は他の疾患のものに比べて顕著である.その肺癌患者に対して,肺の一部を切除する肺葉切除術というものがある.この手術では,切除してできた空洞を埋めるため,術後に気管や気管支が変形し,場合によっては副作用として呼吸機能障害を生じることがある.しかし、その副作用がどのような場合に起こるのかは明らかになっておらず,内部の流れを調べることでその原因に関する知見が得られると考えられる.
本研究では,術後に呼吸機能障害を生じた患者と生じなかった患者のCTデータから3次元気管支形状を作成し,それら2つの場合の内部流れのシミュレーション(速度・流量の測定や可視化)を行った.また,肺葉を切除していない健常者に関しても気管支内流れのシミュレーションを行い,過去の研究も含めて,施術した気管支と健常者の気管支との比較を行った.その結果,健常者では右気管支への流量が多く,一方,施術した患者では切除した右側への流量が減り,その減り幅が大きいものが呼吸機能障害に繋がっていることが分かった.今後は,呼吸サイクルを再現するなど,計算条件を現実の呼吸に近づけることを課題として進めていく.
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