電磁流体乱流は、熔鉄などの液体金属、太陽プラズマなどにおいて見られる現象である。
電磁流体乱流はNavier-Stokes方程式及び誘導方程式に従う決定論的現象であるが、強い非線形性を持つためその振る舞いを解析的に解くことは困難である。その振る舞いの予測には数値シミュレーションが有効な手段の一つである。
電磁流体乱流には秩序構造が存在する。その構造の特徴にエネルギーの大半を保有すること、空間的間欠性、多スケール性がある。その抽出には位置とスケールの情報を同時に捕らえる手法が有効である。その一つであるウェーブレット解析を応用した抽出手法により、秩序構造は全体の数パーセントの自由度しか持たないにも関わらず、電磁流体乱流の統計的性質をよく再現することが示されている。
ウェーブレット解析を応用して電磁流体乱流の秩序構造の抽出を行い、摘出された秩序構造の時間発展を捉えることにより、自由度を縮約したシミュレーションが可能になると期待できる。本研究では、ウェーブレット解析に基づく電磁流体乱流の自由度縮約を用いた数値シミュレーションの開発及びその検証を行う。