氏名 : 中西 崇仁 (280967209)
所属 : 金田研
題目 : 乱流の慣性小領域における普遍統計法則の大規模DNSデータを用いた検証
概要 :
乱流現象は流体の基礎方程式(Navier-Stokes方程式)に従う決定論的なものであるが、強い非線形性、巨大自由度、初期値敏感性を持つために、すべての挙動を把握することが困難である。そのため、何らかの統計的平均量の普遍法則に関する知見を探ることが必要となる。乱流中の距離r離れた2点間の速度差のn乗平均はn次速度構造関数といわれ、乱流統計量の中でも基礎的なものの1つである。近年、Hill&Boratav(2001)はNavier-Stokes方程式を基に、非圧縮性と一様性および局所等方性を仮定し、任意のレイノルズ数において成り立つ、速度構造関数のある厳密な関係式を導いた。その関係式は慣性小領域における速度構造関数のr依存性に対して重要な示唆を与えるものであるが、これまで十分広い慣性小領域を有する高レイノルズ数乱流における直接的な検証はなされておらず、詳細はほとんど分かっていない。
本研究では十分広い慣性小領域が存在する高レイノルズ数乱流の直接数値計算(DNS)データを用いて、Hill&Boratav(2001)の関係式を検証し、慣性小領域における速度構造関数のr依存性(普遍統計法則)を明らかにすることを目的としたデータ解析を行う。
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