主成分分析は様々な分野で利用されているが,
扱うデータ量によっては膨大な計算量が必要となる。
気象データの解析もその例外ではなく,
データ量が膨大でそれに付随する形で計算量も膨大になる。
主成分分析の手法として特異値分解を用いる方法があり,それを高速化することを考える。
特に,特異値分解中で計算の大部分を占めるQR分解に焦点を当てて高速化を目指す。
一方,近年開発されたCellプロセッサは単精度ながら,256GFLOPSという
高いピーク性能を有する。Cellはマルチコアプロセッサであり,
並列化によるその高いピーク性能から,
科学技術計算への応用が期待されている。
しかし,データ量の観点から各プロセッサ間のデータ通信回数を考慮しなくてはならない。
従来のQR分解アルゴリズムでも並列化は可能であるが計算量に対し通信コストが大きい。
そこで,本研究では
大粒度の構想に基づいたアルゴリズムAllReduce algorithmに目を向ける。
このアルゴリズムは
一度の通信を行えば,
その後は無通信で比較的多量の計算を進行できるため,
通信コストが小さくなる点で,並列計算に適していると考えられる。
これをCellプロセッサで実装し,気象データの解析に適用することを目標とする。