大気や海洋でみられる地球規模の流れにおいては、回転・成層の効果が乱流に与 える影響を理解することが重要である。地球規模の流れの数値シミュレーションで は、高速かつ高精度な計算を可能にする数学的物理的根拠を持った乱流モデルが待望 されている。その開発には、回転乱流や成層乱流の特徴を理解・解明することが必要 不可欠である。これらの乱流場の重要な特性の一つに、3次元回転乱流には柱状渦構 造が、3次元成層乱流にはシート状渦構造が形成されるということがよく知られてい る。これら秩序的な渦構造の形成要因に対し、慣性波や内部重力波による線形効果で あるか、非等方的な非線形相互作用によるエネルギー輸送によるものか、という説が あるものの、明確な解明には至っていない。
そこで本研究では、回転乱流、成層乱流各々に対して、直接数値シミュレーションを 行い、回転(成層)効果が非線形効果と比較して支配的な時間スケール、非線形効果 が回転(成層)効果に比べ卓越している時間スケールそれぞれにおける秩序渦構造の 主要な形成要因を解明することを目的とする。