近年注目を集めている準受動歩行ロボットは,歩行運動の生成に機構系の力学的 特性を活かし,離散的な制御によって平地での高効率な歩行を実現している.し かし,準受動歩行ロボットはその高効率性のみが注目され,実時間適応性に関す る考察がなされていないのが現状である.
そこで本発表では,CPG出力を離散化したパルス化CPGを提案する.CPGとは, 歩行などの周期運動のパターン形成に中心的な役割を果たすリズムジェネレータ のことである.このCPG出力を離散化し制御信号とすることで,機構系の力学的 特性を活用した高効率制御だけでなく,制御タイミングの自律的かつ状況依存的 な調整による実時間適応的な歩行の実現が期待される.この検証用に製作した実 機は全高約1.15m,重量約8kgで,股関節および膝関節には空気圧人工筋を実装し ている.人工筋への空気の給排気は電磁弁の開閉によって行われ,パルス化CPG の出力信号によってその開閉制御を行う.さらに足裏にはタッチセンサを有し, そこから得られるセンサ情報をCPGへフィードバックすることで,空気圧人工筋 の駆動タイミングの自律的かつ状況依存的な調整による実時間適応的な歩行を目 指す.