近年,二足歩行ロボットやペットロボットなど高度な移動機能を有する様々なロボットが開発されている.しかしながら,これら多くのロボットは目的のタスクに向け決 定論的に制御されているにすぎない.一方,動物は極めてプリミティブなレベルと分類されるものであってもその行動に自発性や多様性を有し,動的かつ予測不能的に変動 する環境において実時間かつ合目的的に行動を自己組織化しながら対処することが可能である.このような自発性,多様性といった柔軟な性質の発現にはゆらぎが深く関与 していること知られている.
そこで,本研究ではモジュラーロボット:Slimebot内部にゆらぎを生成することによる,行動の自発性,多様性の発現を目指す.Slimebotは制御系で主たる役割を果たす 非線形振動子としてVDP振動子を有し,それらの相互引き込みを活用することによってアメーバ様ロコモーションのタイミング生成を行う.ここで,カオスを用いることに よるゆらぎの生成に着目し,非線形振動子としてカオスを生じさせることが可能な拡張BVP振動子の実装をする.予備的なシミュレーションの結果ではあるが,行動の多様 性が確認されたので報告を行う.