近年、Navier-Stokes方程式の直接数値計算(DNS)により比較的高いレイノルズ数の流れが実現されている。しかし、多くの工学的課題に見られるような高いレイノルズ数の乱流を限られた計算資源で解析するためにはNavier-Stokes方程式をモデル化して数値的に解く必要がある。その手法の一つに、計算格子の幅より小さいスケールの運動はモデル化し、計算格子の幅より大きいスケールの運動のみを直接計算するLarge Eddy Simulation(LES)がある。
これまでにも経験則に基づく様々なLESモデルが提案され、多くの知見が得られているが、壁から離れた乱流に比べ壁近傍の乱流のモデルはうまくできていない。また経験則に基づくモデルは信頼性や適用範囲があらかじめ分らないといった欠点がある。
近年、LangfordとMoser(1999)によってoptimal LESモデルが提案された。このモデルは、ある理想化されたLESモデルを定義し、それとの差を最小にするように構成された近似モデルであり、Volker等(2002)はその近似モデルの構成のために、Reτ=590のchannel乱流のDNSデータを用いた解析を行っている。
本研究では、より高いレイノルズ数Reτ=1300のchannel乱流のDNSデータを用いて同様な解析をし、channel乱流のoptimal LESを検証することを目的とする。