氏名 : 岸 弘朗 (280567057)
所属 : 安藤研
題目 : 先行実行を利用したライン・バッファへのプリフェッチによるロード命令のレイテンシ削減
概要 :
近年のプロセッサは、ますますクロック周波数が高くなり、メモリアクセス速度との解離が非常に大きくなっている。このため、ロードの長いレイテンシは性能に深刻な低下をもたらしている。
この問題を解決する手法として、キャッシュより上位のメモリ階層として、ライン・バッファを搭載することが提案されている。ライン・バッファとは、最近アクセスされたキャッシュ・ラインを保持する完全連想の小容量のバッファであり、高速なアクセスを可能とする。しかし、その反面、エントリ数が少ないため、ヒット率は低いという問題点をもつ。このヒット率の低さを改善するためにも、少ないエントリ数を効率よく利用する必要がある。
そこで、ライン・バッファの利用効率を上げる手法として、物理レジスタの二段階開放という手法に着目した。この方法は、プログラム中に潜在するILP(命令レベル並列性)を利用して先行実行を行うものである。この先行実行は予測でなく、正確に行われるという特徴をもつ。そのため、本実行前にライン・バッファに、利用するデータをフェッチしておくことができる。その結果、少ないエントリを必要なデータで満たすことが可能となる。
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