マイクロスケール、ナノスケールの微小液滴や、非常に粘性が強い液滴の分裂、合体などの界面のつながり具合(トポロジー)の変化を伴う液滴は、化学工学、生物工学などの分野でよく見られる現象である。界面のトポロジーが変化する場合において、液滴内部の流れなどを解析する手段としては数値シミュレーションが有効である。
このような液滴の運動に関連した流れのレイノルズ数は非常に小さく、慣性力よりも粘性力が支配的である。よってその流れはストークス流として扱える。ストークス流の数値計算手法としては境界要素法が有力である。しかし、微小液滴の界面の運動に対して境界要素法を用いると、界面のトポロジーが変化する場合は計算できなくなる。
そこで、本研究では流体の運動の計算には境界要素法を用い、界面の形状の計算にはLevel-Set法を用いることによって、界面のトポロジーが変化する場合についての数値シミュレーションを行う。