高分子グラフト鎖の粘着の重要なパラメータの一つとして、グラフト点密度がある。粘着力はグラフト点密度の増加と共に線形に増加し、ある点を過ぎると一定となることが知られている。これは、互いの鎖の束の中に入り込むことができる鎖の数には限界があり、それ以降はもつれることができる鎖の数が増えないことに起因する。
我々は、さらにグラフト点密度を増加させると、入り込めない鎖が互いの界面を押し上げ、もつれる部分が減少することにより、粘着力が減少すると予想した。それを検証するために、本研究では分子動力学法を用い、高分子グラフト鎖の粘着シミュレーションを行った。