接合材として使用されているはんだは,環境への影響から鉛フリーはんだへと
移行が進んでいる.このため,鉛フリーはんだに対する信頼性の高い寿命予測技
術の確立が重要となっている.はんだ接合部の寿命予測には有限要素法が使用さ
れるため,適切な非弾性構成式を構築する必要がある.
はんだは取り付け時に温度差により残留応力が発生する.高密度実装化により
今後さらに重要性が高まるBGAなどの接合方法では,接合部の微小化により残
留応力の影響が顕著になる.これにより,精度の高い寿命予測を行うためには応
力緩和の過程を十分に考慮する必要がある.応力緩和は主に回復によって起こる
ので,特に回復を十分に考慮する必要がある.そこで,本研究では統一型構成式
を用いた非弾性材料モデルの構築を行い,そして有限要素法への組み込みを行っ
た.このときに,計算効率を向上させるため,安定性の高い後退オイラー法と,
収束性の向上が図れるコンシステント接線剛性の導出を行い適用した.そして,
単軸引張試験により材料パラメータを決定し,リード型はんだ接合部モデルの引
張圧縮負荷条件での解析により妥当性を検討した.その結果,高い収束性と計算
安定性を確認できた.