電気泳動とは、荷電粒子あるいは分子などが電場がかけられた溶媒中を移動 する現象である。特にDNAや蛋白質を分離する手法として多く用いられている。 電気泳動において、粒子と溶媒の挙動は静電相互作用と流体力学相互作用の競合 によって決定される。よってこの現象を詳しく解析するためにはシミュレーショ ンが必要となってくる。この現象をシミュレーションするために、本研究では境 界要素法を用いることにする。
境界要素法とは境界だけを考えて、境界だけを解けば全体を記述できるとい う方法である。境界要素法は有限要素法などとは違い、境界のみを計算すること によってシミュレーションを行うので、計算コストが少なくてすむことや、半無 限区間の計算ができるなどのメリットがあげられる。そこで本研究では境界要素 法によって静電相互作用と流体力学相互作用を取り扱えるようにすることで、電 気泳動のシミュレーションが行えるようにすることを目的とする。またそれを用 いることによって電気泳動における粒子や溶媒の挙動を解析することで、電気泳 動の詳細を理解する。