私たちの周りで見ることができる流れの多くは乱流である。 自然現象に見られる乱流は一般に高レイノルズ数で巨大自由度をもつため、有限な自 由度しか扱うことのできない計算機上でシミュレーションを行うにはモデル化が必要 となる。モデル化をするための手がかりとして乱流現象の小スケールでの普遍則の理 解が挙げられる。 普遍則の理解には直接数値シミュレーション(DNS)による大規模計算が非常に有効 で、近年のスーパーコンピュータの進化が著しいことに伴い、特に一様等方性乱流で は大規模なDNSが行われ成果を上げている。 一方で、平行平板間の乱流(チャネル乱流)も基礎的ではあるが、工学的に興味のある 乱流境界層をもつなど、その興味の豊富さから多くの研究が成されてきた。しかし、 今のところチャネル乱流では一様等方性乱流で行われたような大規模なDNSは行われ ておらず、大規模なDNSを行うことで得られる知見は重要である。
そこで本研究では、高レイノルズ数チャネル乱流の大規模DNSの実現に向けて、計 算機に適したコードの最適化を行った。また、非線形項の計算時に発生するエイリア シングエラーの除去方法を2/3則から3/2則に変更して計算に必要な格子点数の節約を はかり、大規模DNSを目指す。