現実に対応するような乱流場を直接数値計算するには、現在の計算機性能を超える 数の格子点が必要となる。この困難を緩和させる為様々なLarge-Eddy Simulation Model(以下LESモデル)と呼ばれる方程式のモデル化が提案されてきたが、どのモデ ルも(経験頼みの)ad hocなパラメータを含むという欠点を持っている。
これに対し、2002年Yoshidaらはad hocなパラメータを含まない、乱流の統計理論 に基づいたLESモデルを提案し、このモデルが等方性乱流におけるエネルギースペク トルを再現することを示した。また、2002年Ishiharaらは一様せん断乱流における非 等方スペクトルの一般形を摂動計算によって導き、直接数値計算によって検証した。
本研究ではこの二つの研究に基づき、ad hocなパラメータを含まず、一様せん断乱 流における非等方のエネルギースペクトルも再現できるLESモデルを提案し検証する こと、具体的には非線形モデルと言われるLESモデルの恣意的パラメータを理論的に 決定することを目標としている。等方性乱流に比べ非等方性乱流はパラメータを決定 する理論式の計算量が膨大になるので、より効率のいいコードを作成した。現在は、 等方性乱流の場合には従来の方法より短時間で計算できることを確認した。