アクチュエータを必要とせず,重力や慣性力のみを利用することにより行われる歩行である受動歩行が,近年多 くの注目を集めている.しかしながら,受動歩行は,環境や初期条件の変動に対して極めて脆弱である,という 問題点が指摘されている.
本研究では,受動歩行機械の持つ自由度が協同現象を起こした結果として受動歩行が 生成されると考え,自由度の増大と受動要素(バネ・ダンパ)の活用により集団効果の誘起を図る.これにより, 引き込み領域を拡大し,環境変動などに頑健な受動歩行機械の実現を目指す.また,二脚受動歩行については数 多くの研究が行われているのに対し,四本のすべてが独立して動く四脚受動歩行については,ほとんど研究が行 われていない現状を鑑み,例えば,前後脚の役割の分化といった四脚受動歩行特有の現象の創発を観察すること も目的とする.
研究の初期段階として,膝および背骨を有する計10自由度を持った四脚受動歩行機械のモデルを 考え,進化的手法を用いて受動歩行が可能となるパラメータの探索を行った.