ブロック共重合体は、異種の高分子鎖を化学的に結合させた構造を持つため、 ミクロ相分離して多様な界面構造を形成する。従来、自己無撞着場理論に代表される 平均場理論を用いた研究が、ブロック共重合体の平衡構造予測に成果をあげてきた。 最近は、通常の平均場理論では扱えない、熱揺らぎによって配位が大きく乱れた 界面が注目されている。
本研究では、変分法と Gaussian random field モデルを従来の平均場理論に 導入することにより、熱揺らぎの下でのブロック共重合体系の平衡構造予測を 試みる。変分法は、自由エネルギーが厳密に計算できないとき、その上限を 見積もることにより近似的評価を行う手法である。Gaussian random field モデルは、 ランダムな界面構造を統計的に記述するモデルである。水・油・界面活性剤系に 対しては、これら2つの導入によるランダムな界面構造の定性的予測がすでに なされている。適当な拡張を行えば、ブロック共重合体系に対しても同様の予測が できると期待される。