デジタル動画像メディアの普及や, ブロードバンド・常時接続環境の整備,HDDの大容量・低価格化などにより, マルチメディアコンテンツの需要が高まってきている. これに伴い, コンテンツ内のある特定のワンシーンを特に対象とした要求が生じることがある. 例えば, 「映画館で映画を鑑賞している時に気になったシーンがあり,終わった後にそこだけもう一度見たい」, 「サッカー観戦に行ったが見逃してしまったファインプレーを,自宅で好きな時にいつでも見られるようにしたい」, 「DVDビデオの中に,友人の好きな俳優が出ているのを見つけ,そのシーンを友人に見せたい」, といったものである. しかし,こうした要求を満たすような仕組みは今まで充分に研究されているとは言えなかった.
そこで本研究では,ユーザが望む任意のシーンを記録し,その記録情報を 配布,交換・共有,集積などのように活用することによって,上述のような要求を満たし, 従来にない柔軟なコンテンツ利用を行うための手法を提案する.
任意のシーンを記録するために,コンテンツに対するメタデータを定義する. コンテンツを提供するシステム側には自身の情報を通知する機能を用意し, ユーザの持つ携帯端末はそのシステムとネットワーク接続する. ユーザは,コンテンツを利用しながら,任意のシーンに差し掛かった時に 携帯端末のボタンを押すだけで,煩雑な操作をすることなく手軽にメタデータを付与することができる. さらに,ユーザが端末を携帯することにより, 自宅のみならず,映画館,スタジアム,街角やテーマパークなど, あらゆる状況下でマーキングが実行可能となる. 生成したメタデータは,マーキングしたシーンを再生したり, そのシーンの関連情報をダウンロードしたりといった利用法が期待できる.