氏名 : 渡邉 淳 (289967317)
所属 : 末永研
題目 : 顔画像からの目領域抽出に関する研究
概要 :
本報告では、我々がこれまでに開発してきた顔画像からの目領域推定手法における、
目領域抽出までの改善について述べる。この手法はまず円マスク最小値フィルタで
目のまわりの暗領域を強調し、さまざまなしきい値処理を施して目候補領域を抽出
する。次に、得られた目候補領域のなかで、形状や幾何的関係が最も目に近い一組を
目領域として抽出する。最後に得られた目領域に動的輪郭モデルを用いて目形状の
推定を行なう。この手法は、個人差や目の形状に依存せず目領域を推定可能であり、
動的輪郭モデルを用いながらも、画像1枚あたりの平均処理時間が約1.5秒
(PentiumIII 600MHz PC使用時)と高速である。
しかし、目候補領域抽出で用いられる、円マスク半径やしきい値などの抽出パラメータは、
ある特定の大きさを持つ暗領域を強調し、目候補領域として抽出するよう設定されている。
そのため、目の大きさがある特定の大きさから離れるにつれ、目領域抽出成功率が
大きく低下する問題点があり、目、もしくは顔の大きさによる抽出パラメータの自動
決定が必要であった。そこで、入力画像からあらかじめHSV表色系で定義した肌色
領域を抽出し、そのなかで画素数が最大である連結成分を顔領域とし、その画素数
によって抽出パラメータを変化させることで、目候補領域抽出の改善を計った。また、
目領域抽出では、目の形状や幾何的関係のみが考慮されているため、これを目の大きさ
についても考慮するように改善した。従来手法および改善手法を、さまざまな向きや
大きさの顔画像1689枚に適用したところ、目領域抽出成功率は従来手法が47.6%、改善
手法が56.8%であり、約9%の抽出成功率の向上が見られた。
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