音声対話システムの実現にあたり、ユーザの発話に対し、システムが可能な限り即座に応答することは重要な観点である。即時応答により、ユーザの待ち 時間の減少が期待でき、その結果、ユーザのストレスや不安感が減り、作業効率が向上すると考えられる。このような考えに基づき、我々は音声入力を漸 進的に処理する即時応答メールツールSync/Mailを作成している。また、Sync/Mailに対する評価実験を行い、即時応答の有効性を確認した。
しかし、従来のSync/Mailでは、入力に対する構文解析の過程で、一つの解析結果が決定した段階で、メールに対する処理の実行と同時に他の解析途中の 候補を破棄し、次の入力単語から新たな解析を開始していた。この手法では、言い直しに対する対処が不十分である、「AのB」という形の名詞句を一つの まとまりとして扱えない、などの問題があった。
本発表では、これらの問題のうち、名詞句「AのB」に関する問題を解決するための手法について述べる。本手法では、システムは文頭となり得る単語が入 力される毎に解析を開始する。また、検索が実行されても他の候補を破棄せず、解析を続ける。その結果、「AのB」という入力に対応することが可能とな る。