実時間対話処理システムを実現するためには、ユーザからの入力に対して 同時進行的に解析をする必要がある。日本語を解析する場合、その解析手法と して2文節間の修飾、被修飾関係を用いた係り受け解析が広く利用されている。 しかし、文の入力途中では係り先となる文節が入力されていないため、文節間 の係り受け関係を決定することができない。
そこで、本発表では入力文節の係り先の品詞を推定し、それを明示的に利 用して、文節が入力されるごとに係り受け構造を作成する手法を提案する。こ の手法では、複数の文節が同じ品詞を係り先とする場合、係り受けの制約に基 づき、その係り先が同じであるか否かを判断しながら解析を進めていくことが できる。さらに、文の入力途中の段階での係り受け構造に対し、コーパスの統 計情報を用いることにより、不自然な係り受けを排除し、効率的に解析をする ことができる。これにより、本手法は文節の入力と同時進行的に係り受け構造 を作成し、その構造における係り受け関係の曖昧性を段階的に解消しながら解 析を進めることができる。