コロイドは我々の日常生活のいたるところに存在している。
その中には、バターや塗料のように有用なものから、汚濁水やスモッグように有害な
ものまで、
さまざまな種類のものがある。
塗料は、できるだけ安定なコロイドをつくることが工業的に必要とされる。
一方、汚濁水に対しては、濁りのもとであるコロイドを凝集・沈殿させ、
水を澄んだ状態にすることが必要となってくる。
一見正反対に見えるこれらの問題であるが、
どちらの問題の解決にも、コロイドの性質を知るということは、とても重要である。
コロイドの持つ性質の中で、分散しているコロイド粒子間に弱い引力相互作用が働
く場合に、
コロイド粒子が凝集してゲル化するというものがあるが、
この現象は非常に興味深い。
このような粒子間の引力相互作用は、実際に、系に対して高分子を加えたり、
pHを変化させることによって見られることがある。
本研究では、このときのコロイド懸濁液のゲル化のプロセス、
およびそれにより形成されたゲルのレオロジー的性質を、
シミュレーションによって解析する。