気象計算などに出てくる球面上の浅水方程式の数値解法として差分法と球面調和関数を利用したスペクトル(SSH)法が一般的であるが、前者は精度が悪く、後者は計算量がかかる。
Fornberg(1995)は FFT を利用した疑似スペクトル法(PSF)を球面上の浅水方程式に適用し、高精度かつ高速な解法を実現した。 PSF 法は無限次中心差分法とみなすことができ、また計算量は、格子点数がO(N2) のとき、 SSH はO(N3) であるのに対し、 PSF は FFT を利用するため O(N2logN) となる。
PSF は FFT を利用するため、等間隔の緯度経度正方格子を用いる。そのため、実際の球面上では極付近で経度方向の格子間隔が密になり、高周波成分に誤差が蓄積される。そこで、Fornberg は極付近でより多くの高周波成分を除去するようなフィルタを提案した。さらに Merrill(1997)は Fornberg のフィルタを改良することにより、定常解などの簡単なテストケースでは精度の向上が見られたが、複雑な場合では安定性に問題があった。今回さらにフィルタを改良し、安定的に問題を解くことができた。