混ざらない高分子の混合液中では、一般的に1つの要素は他の要素中に分散したドロップレットの相となって存在する。このような系は強い粘弾 性と長い緩和時間をもつ。これは、1つ１つのドロップレットの変形と回復に関係があると考えられている。
本研究の目的は、液滴(ドロップレット)分散系におけるドロップレットの変形、合体のプロセスをシミュレートし、その界面の運動や構造から 系全体の性質を予測することである。また、その構造変化の理論的な意味を考える。
実験では、ステップずり後のドロップレットは、棒状やダンベル型を経てもとの形に回復する事がわかっている。この形状は加えたずりの大き さに大きく左右される。また、回復のプロセスは界面のエネルギーを効率良く減らそうとするものになっている。
シミュレーションの方法としては、有限要素法を用いて、系をメッシュにボロノイ分割しナビィエ・ストークス方程式をポテンシャル関数を用 いて解き、系の時間発展を追跡する。この手法により複数のドロップレットの系も容易に再現できる。
このシミュレーションは化学、食品、生体などのさまざまな分野の基礎の研究となるものである。