台風や木星の大赤斑など、自転する惑星表面上には様々な渦現象が見られる。本研究で
は、この渦現象の中で局所的な渦に対する惑星の自転が及ぼす効果について数値解析を行
う。特に、計算方法について、大規模計算において計算速度の落ちにくい高精度高解像度
差分法の、球面あるいは球殻内の流体計算への適用の可能性について調べる。
基礎方程式は、非定常非発散のナヴィエ・ストークス方程式を用いる。惑星規模の現象
を視野に入れた場合、高レイノルズ数流れとなるため、粘性の効果は小さく、微細な渦構
造まで考慮する必要がある。この微細な渦構造を捉えるために、莫大な数の格子点が必要
となる。
一般に、差分法は、球面調和関数などを用いたスペクトル法にくらべ、格子点の数が多
い場合、計算時間が少なくてすむという利点を持つ。欠点は、解像度(resolution)におい
て劣る事である。この欠点は、Lele(1992)によって提案されたCompact差分法を用いること
により、ある程度克服されることが報告されている。しかし、球面上の計算に対する適用
例はほとんどない。これまで、簡単な球面上の流体運動に、最近発表されたCompact差分を
拡張したスキームを適用し、通常の差分法よりも高い解像度の結果が得られた。